問1〜20に続き、今回は問21〜問30で扱われたテーマを解説します。試験問題の文章そのものは転載せず、出題されたテーマの背景知識をオリジナルの解説としてまとめています。正確な問題文を確認したい方は、下記の公式サイトをご覧ください。
問21:労働基準法における産前産後の就業・賃金支払い等
労働基準法では、産後6週間を経過しない女性労働者は、本人が就業を請求しても就業させてはならない一方、産前6週間以内の女性労働者については、本人が休業を請求しない限り、就業させても差し支えないとされています。賃金の支払いは通貨で毎月1回以上行うのが原則で、銀行振込には労働者本人の同意が必要です。試用期間中の解雇についても、14日を超えて雇用した場合は通常の労働者と同様に解雇予告等のルールが適用されます。
問22:雇用保険制度
雇用保険は、年齢にかかわらず要件を満たせば適用される制度で、65歳を超える労働者も適用除外にはなりません。求職者給付の所定給付日数は、被保険者であった期間・離職時の年齢に加えて、離職理由(自己都合か会社都合かなど)によっても異なります。教育訓練給付は、事業主ではなく労働者本人に対して支給される制度です。一方、離職後に事業を開始した場合など、事業を行っている期間について、最大3年間、基本手当の受給期間に算入しない特例が設けられています。
問23:年次有給休暇
年次有給休暇は、発生の日から2年の消滅時効に服するとされ、この期間内に取得しなければ権利が消滅します。労働者が年休を取得する際、判例上、使用者に対して利用目的を明示する義務はないとされています。また、業務の正常な運営を阻害する目的で全員一斉に休暇届を提出し職場を放棄・離脱する、いわゆる一斉休暇闘争は、正当な年次有給休暇権の行使とは認められないという判例があります。所定労働時間が短い労働者にも、労働日数に応じた比例付与の対象となる場合があります。
問24:生徒指導提要とキャリア教育
「生徒指導提要(改訂版)」では、生徒指導とキャリア教育は、児童生徒の社会的自己実現を支える教育活動として、密接に関連する一体的な取組として進めることが重要とされています。「両者の独自性を尊重し、個別に取り組むことが大切」という理解は、この提要が重視する連携の考え方とは異なります。いじめや暴力行為への対応においても、将来の夢や進路目標を明確にすることが、生徒指導とキャリア教育の深い関係を示す一例として位置づけられています。
問25:高等学校学習指導要領における「総合的な探究の時間」
高等学校学習指導要領では、**横断的・総合的な学習を通じて、自己の在り方生き方を考えながら課題を発見・解決していく資質・能力の育成を目指す時間として、「総合的な探究の時間」**が設定されています。小・中学校の「総合的な学習の時間」から、高等学校では「探究」という言葉に変わっている点も、あわせて押さえておきましょう。
問26:GIGAスクール構想
GIGAスクール構想は、全国の児童生徒に向けて1人1台の端末整備などを含むICT環境整備を進める構想です。特別支援学級も対象に含まれ、ネットリテラシーをはじめとする情報活用能力の育成も重要な目的の一つとされています。国語をはじめとした各教科の授業でもICTの活用が進められており、「文章作成能力向上を妨げるため国語には導入しない」という理解は誤りです。
問27:精神障害・発達障害の特徴
学習障害のある人は、口頭でのコミュニケーションは可能でも、読み・書き・計算といった特定の分野を極端に苦手とする傾向があります。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある人には、見通しが立たないことへの不安の強さが特徴として挙げられます。気分障害の躁状態では、精神的・肉体的なエネルギーが増し、通常を超えた行動に走る傾向があります。パニック障害は、突然の強い不安発作(パニック発作)を特徴とする疾患であり、「周囲に次々と関心を持ち、エネルギッシュに様々なことに取り組む」という記述は、パニック障害の特徴としては当てはまりません。
問28:心の健康を取り巻く環境(令和6年版厚生労働白書)
ストレスとは、外部からの刺激(ストレッサー)によって心身に生じる反応(ストレス反応)のことを指し、両者を合わせて「ストレス」と呼ぶこともあります。ストレッサーには、物理的・化学的なもの、生理的なもの、心理的・社会的なものなど様々な種類があり、同じストレッサーでも受け止め方によって適応・不適応の結果は異なります。「ストレス学説」は、カナダの生理学者セリエ(Selye, H.)が提唱したことで知られており、「アメリカの生物学者」や「日本の医学者・北里柴三郎」がこの学説を唱えたという理解は誤りです。
問29:エリクソンの理論(ライフサイクル論)
エリクソン(Erikson, E. H.)は、「アイデンティティ」を中核概念として、人間の生涯全般を捉える「ライフサイクル」論を提唱しました。乳児期から老年期に至るまでの各発達段階に、それぞれ固有の発達課題(危機)があるとする理論です。「アダプタビリティ」(ホールの用語)や「ライフロール」(スーパーの用語)といった、他の理論家のキーワードと混同しないよう注意しましょう。
問30:シュロスバーグの4S(転機を乗り越えるための4つの資源)
シュロスバーグ(Schlossberg, N. K.)が示す4Sのうち、「Support(支援)」は、周囲からの支え、親密な人間関係、家族、友人、専門機関などを含む資源です。「Situation(状況)」は転機の引き金やコントロール可能性、「Self(自己)」は個人の内的リソース(社会経済的地位や心理的資源)、「Strategies(戦略)」は状況を変える・意味を変える・ストレスを緩和するといった対処行動を指します。4つの頭文字とその内容を正確に対応させて覚えておきましょう。
問21〜30は、労働基準法・雇用保険・年次有給休暇といった労働法規と、学校教育・精神保健に関するテーマが中心でした。**「原則と例外を正確に区別すること」「提唱者と用語のペアを正確に覚えること」**が、この範囲の得点のカギになります。次回は問31〜40の範囲を解説します。
