第26回キャリアコンサルタント試験 出題テーマ解説(問1〜10)|労働統計・キャリア理論をやさしく整理

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第26回試験(2024年7月実施)の学科試験について、出題されたテーマごとに背景知識をやさしく整理しました。試験問題の文章・選択肢そのものは、著作権者(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会・日本キャリア開発協会)に帰属するため、この記事では転載していません。正確な問題文を確認したい方は、下記の公式サイトをご覧ください。

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問1:令和5年版労働経済の分析(転職の動向)

労働経済白書では、転職希望者のうち実際に転職を実現できた人の比率や、転職活動をしたが転職しなかった人が挙げる理由などが年齢層別に示されます。20〜40歳台と45〜74歳とでは、転職しなかった理由の傾向が異なるとされており、若年層は賃金や労働条件のミスマッチ、中高年層は生活の安定志向など、年代ごとの特徴を押さえておくことが対策のポイントです。転職前後の賃金比較についても、年齢層によって増減の傾向が異なる点に注意しましょう。

問2:職業能力開発促進法(2022年改正)

2022年の改正では、事業主がキャリアコンサルティングの機会を確保する際に、キャリアコンサルタントを有効に活用するよう配慮することや、労働者の配置など雇用管理面での配慮を行うことが定められました。一方で、「40歳・50歳といった節目でキャリアプランを記入させ、人事台帳として整備することを義務づけている」というのは行き過ぎた理解です。これはあくまで望ましい取組として推奨されるものであり、法律上の義務ではありません。

問3:職場における学び・学び直し促進ガイドラインとキャリアコンサルタントの役割

このガイドラインでは、キャリアコンサルタントは学び・学び直しの方向性決定の場面だけでなく、管理職など現場リーダーのサポート役や、現場リーダーと労働者の仲介役としても期待されているとされています。「方向性・目標の決定のときだけ支援すればよい」という限定的な理解や、「副業・兼業は学び・学び直しの推進とは無関係」という理解は、いずれもガイドラインの趣旨とは異なります。

問4:パーソンズの特性-因子論

パーソンズ(Parsons, F.)の特性-因子論は、個人の能力・特性と職業の要件が一致するほど仕事の満足度が高まるという考え方が基本です。個人ごとに異なる能力を測定し、それに最もふさわしい職業を選ぶという発想が特徴です。なお、「自分らしく働けるスタイルを、船を港につなぐ錨にたとえる」という表現は、シャイン(Schein, E. H.)の「キャリア・アンカー」の説明であり、パーソンズの特性-因子論とは異なる理論家の概念なので、混同しないよう注意しましょう。

問5:クランボルツが挙げたキャリア選択過程に影響を与える要因

クランボルツ(Krumboltz, J. D.)は、キャリア選択に影響を与える要因として、遺伝的特性や特別な才能、環境的条件や出来事、学習経験、そして課題解決に向けたスキルなどを挙げました。一方、「積極的不確実性の予測」という概念は、ジェラット(Gelatt, H. B.)の意思決定理論に関連する用語であり、クランボルツが挙げた要因には含まれません。理論家ごとのキーワードを正確に区別することが重要です。

問6:ハックマンとオルダムの職務特性理論

職務満足をもたらす5つの中核的次元は、「技能の多様性」「課業の主体性(同一性)」「課業の重要性」「フィードバック」、そして**「自律性」**です。自分の裁量で仕事を進められる度合いを指すこの「自律性」が、モチベーションを高める重要な要素の一つとされています。

問7:スーパーのキャリア理論

スーパー(Super, D. E.)は、個人が語る職業への思いには自己概念が反映されていると考え、職業適合性という概念で個人と職業の関係を動的に説明しようとしました。ライフ・キャリア・レインボーは「時間」と「役割」という2つの次元で構成されます。一方で、「個人のキャリア・パターンは、親の社会経済的レベルや本人の知的能力と関わりなく、教育レベルなど与えられた機会のみによって決定される」という考え方は、スーパーの理論の趣旨とは異なります。実際には、知的能力や家庭環境など複数の要因が複合的に影響するとされています。

問8:ジェラットの意思決定理論

ジェラット(Gelatt, H. B.)の意思決定理論は、「予期システム」「価値システム」「決定システム」の3つの段階で構成されます。予期システムでは選択可能な行動とその結果を予測し、価値システムでは選択肢を目的や目標に照らして評価し、決定システムで最終的な意思決定を行います。「4段階」という理解は誤りなので注意しましょう。

問9:中高年のライフステージとキャリア

エリクソン(Erikson, E. H.)の発達段階説において、老年期の主な発達課題は「統合」対「絶望」とされています(「世代性」は成人期の発達課題であり、老年期とは異なります)。レビンソン(Levinson, D. J.)は中年期から老年期への移行を「人生半ばの過渡期」と呼び、自らの限界の受容などを課題として挙げました。スーパーは高齢期のキャリア発達の中心を「成熟」と捉え、発達課題に対処するためのレディネスを「キャリア成熟」と定義しています。

問10:ブリッジズのトランジション理論

ブリッジズ(Bridges, W.)は、人生の転機(トランジション)を「終わり」「中立圏(ニュートラルゾーン)」「始まり」という3つのプロセスで捉えました。「終わり」は、それまでの慣れ親しんだ状況やアイデンティティからの離脱を伴う象徴的な体験であり、その後の「中立圏」では、空白や休養を経験しながら新しい方向性への気づきが生まれるとされます。そして「始まり」の段階で、その気づきを実際の行動へと移していきます。3つの段階それぞれの意味を正確に区別しておくことがポイントです。


問1〜10は、労働統計・法制度系のテーマ(問1〜3)と、複数のキャリア理論家の比較(問4〜10)が中心でした。**「似た概念を持つ理論家を混同しないこと」「義務と努力義務・推奨を正確に区別すること」**が対策のポイントです。次回は問11〜20の範囲を解説します。

※本記事の解説は、キャリア理論・労働法規に関する一般的な知識をもとに作成したものです。公式の正答表と必ず照らし合わせてご確認ください。

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