第29回キャリアコンサルタント試験 出題テーマ解説(問31〜40)|メンタルヘルス・カウンセリング基礎をやさしく整理

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問1〜30に続き、今回は問31〜問40で扱われたテーマを解説します。試験問題の文章そのものは転載せず、出題されたテーマの背景知識をオリジナルの解説としてまとめています。正確な問題文を確認したい方は、下記の公式サイトをご覧ください。

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問31:キャリアの転機に関する理論家の整理

キャリアの転機(トランジション)を扱う理論家は複数います。シュロスバーグ(Schlossberg, N. K.)は「状況・自己・支援・戦略」という4つの視点で転機への対処を捉え、スーパー(Super, D. E.)は発達段階の間に暦年齢にゆるく関連した「移行期」があるとしました。ブリッジズ(Bridges, W.)は「終焉・中立圏・開始」というプロセスでトランジションを説明しています。一方、ジェラット(Gelatt, H. B.)は「予期システム・価値システム・決定システム」から成る意思決定理論の提唱者であり、「予期せぬ出来事による過渡期が職業的発達に影響する」という主張は、ジェラットの理論というよりクランボルツの理論に近い考え方です。理論家と主張内容の対応関係を正確に区別しましょう。

問32:事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン

このガイドラインでは、就業により疾病が悪化しないよう就業上の措置や治療への配慮を行うこと、労働者本人が主治医の指示に基づき治療に取り組むこと、両立支援に必要な個人情報を本人の同意なく取得しないことなどが基本とされています。「労働者からの申出がない場合、事業主は組織としての対策や取組みを一切行う必要がない」というのは、このガイドラインの趣旨とは異なります。申出をしやすい職場環境を整備することも、事業主に期待される重要な取組みの一つです。

問33:障害特性に応じた雇用支援策

ハローワークでは、精神障害・発達障害のある人向けに「精神・発達障害者雇用サポーター」などの専門職員が、個々の障害特性に応じたきめ細かな相談支援を行っています。障害者トライアルコースでは、テレワーク勤務の場合にトライアル期間を延長できる仕組みもあります。ハローワークが精神保健福祉センターと連携して就労支援を行う際、相談者が障害者手帳を持っていることが必須要件というわけではなく、手帳の有無にかかわらず支援を受けられる場合があります。

問34:マイクロカウンセリングの技法「はげまし」

アイビイ(Ivey, A. E.)のマイクロカウンセリングにおける「はげまし」は、「ふんふん」「なるほど」といった相づちを伴ううなずきや、クライエントが話した重要なキーワードをそのまま繰り返す技法です。クライエントの言葉を聴き手の言葉に置き換える「言い換え」、話の要点をまとめる「要約」、感情面に焦点を当てる「感情の反映」など、似た他の技法と正確に区別しておきましょう。

問35:クライエント中心療法の基本概念

クライエント中心療法では、個人を維持・強化する方向へ全能力を発展させようとする「実現傾向」が重視され、カウンセラーがクライエントの感情に注意を払い応答することで、クライエントは深く理解されていると感じるとされます。目指す状態は「十分に機能する人間」と呼ばれます。「クライエントの生き方や判断に誤りがあれば、カウンセラーが正しい方向へ導く」という指示的な姿勢は、クライエント自身の力を信頼するクライエント中心療法の基本的な考え方とは相容れません

問36:グループワーク実践上の留意点

グループワークを行う際には、事前のオリエンテーションで、何のために行い、何を目指すのかを participant に示しておくことが望ましいとされています。インストラクション(進め方の説明)は長々と行うのではなく、簡潔に伝えることが基本です。参加者が評価に抵抗を示している場合、説得・叱責・激励といった言語的な働きかけだけで解決しようとするのではなく、その背景にある気持ちに配慮する必要があります。挨拶の元気のなさについても、一律に「もっと元気に」と決めつけて励ますのではなく、その人なりの状態を尊重する姿勢が求められます。

問37:ジョブ・カードの作成支援

ジョブ・カードの作成支援では、単にシートの項目を埋めることが主目的なのではなく、相談者自身の自己理解やキャリアの棚卸しを促すことが本質的な目的です。相談者の話を傾聴しながらも、キャリアコンサルタントが主体的に判断して記入内容を指示するのではなく、相談者自身の気づきを尊重します。記入が不十分な場合も、支援を打ち切るのではなく、対話を通じて一緒に整理していくことが望まれます。複数回にわたって支援を行う場合は、「今日の作成支援を受けてどのような気づきがあったか」を問いかけ、面談のまとめを行うことが効果的な進め方です。

問38:システマティックアプローチにおける「カウンセリングの成果」の評価

カウンセリングの成果は、目標達成の有無という端的な基準だけでは、将来を見据えた場合に十分とはいえません。クライエント自身の受け止め方や、スーパーバイザー・他のカウンセラーからの助言も、評価に役立つ重要な視点です。「カウンセラー自身による評価は、主観が入りやすいため評価方法として不適切である」と一律に切り捨てる考え方は行き過ぎで、カウンセラー自身の振り返りも成果評価の重要な一部として位置づけられています。

問39:相談目標の明確化

相談者の主訴をそのまま目標として設定するのではなく、その背景にある思いを丁寧に確認しながら目標を練り上げていくことが重要です。たとえば「仕事を通して幸福になりたい」という主訴に対しては、「どのような自分になっていると幸福か」と問いかけ、相談者自身の思いを確認したうえで目標を設定するというプロセスが望ましい対応です。「他者の行動変容」をそのまま目標にしたり、キャリアコンサルタントが一方的に目標を「与える」ような対応は、相談者の主体性を尊重する姿勢とは異なります。

問40:キャリアコンサルティングにおける検査の使用

検査を使用する際は、検査の限界を十分に認識したうえで、目的と対象に応じて妥当性・信頼性が確認された検査を選定することが基本です。検査の目的の説明は、実施前に行うべきものであり、検査後に説明するのでは意味がありません。検査結果は機微な個人情報として慎重に扱う必要がありますが、説明後すぐに記録を消去しなければならないという決まりがあるわけではなく、また結果のフィードバックをキャリアコンサルタントの判断で省略してよいというものでもありません。


問31〜40は、キャリア理論家の主張の正確な対応関係と、カウンセリングの基礎技法・アセスメントの使い方が中心でした。**「理論家と主張の組み合わせを混同しないこと」「一見もっともらしい”べき論”に飛びつかず、原則を丁寧に確認すること」**が、この範囲の得点のカギになります。次回、最後の問41〜50の範囲を解説します。

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