問1〜20に続き、今回は問21〜問30で扱われたテーマを解説します。試験問題の文章そのものは転載せず、出題されたテーマの背景知識をオリジナルの解説としてまとめています。正確な問題文を確認したい方は、下記の公式サイトをご覧ください。
問21:労働についての政府統計
労働に関する主要な統計は、それぞれ調べられる内容が異なります。
- 労働力調査(総務省):完全失業率の推移
- 一般職業紹介状況(厚生労働省):有効求人倍率の推移
- 賃金構造基本統計調査(厚生労働省):年齢・勤続年数・職種別の賃金
- 毎月勤労統計調査(厚生労働省):産業別の所定外労働時間を含む総実労働時間
**「総実労働時間を調べるなら毎月勤労統計調査」**という組み合わせがポイントです。似た名前の「就労条件総合調査」は、労働時間制度や休暇制度など企業の労働条件そのものを調べる調査であり、月々の実労働時間の推移を追うものではないため、混同しないよう注意しましょう。
問22:令和5年版労働経済の分析(賃金)
賃金の長期的な動向として、名目労働生産性・名目賃金は1970年代から1990年代前半にかけてほぼ一貫して増加し、1990年代後半以降はほぼ横ばいで推移してきたとされています。また、OECD諸国のデータでは、スタートアップ企業の開業率が高い国ほど労働生産性や賃金上昇率も高い傾向、つまり正の相関がみられるとされます。賃上げには、企業側の社員のやる気向上・離職率低下、労働者側の仕事満足度向上といった効果が期待されるという文脈でも出題されやすいテーマです。
問23:労働関係法令における労働者の概念
法律によって「労働者」の定義される範囲が異なる点は頻出です。労働組合法における労働者には、現に就労していない失業者も含まれるとされています。また、職業能力開発促進法における労働者には、求職者も含まれるという点も重要です。「特定の法律では含まれない」という記述に引っかからないよう、法律ごとに労働者の範囲がどう定義されているかを丁寧に整理しておきましょう。
問24:出向・転籍
在籍出向命令は、就業規則に根拠規定があり、権利の濫用にあたらない限り、労働者の個別同意がなくても有効と解されています。一方、転籍(在籍する企業を辞めて他企業に移る)は、労働契約そのものが変わるため、就業規則に条項があっても労働者本人の個別の同意が必要です。また、出向中の労働安全衛生法上の事業者責任は、実際に労務を受け入れている出向先が負うとされています。
問25:時間外労働・休日労働の割増賃金
法定休日に労働させた場合は、休日労働として一律の割増率(35%以上)が適用されるのが基本であり、時間外労働の概念とは別枠で計算されるという点に注意が必要です。法定時間外労働が月60時間を超えた場合、超えた部分の割増率は25%以上ではなく50%以上になります。また、労使協定を結べば、60時間超過分について割増賃金の代わりに休暇を付与する制度(代替休暇)を設けることも可能です。なお、割増賃金の算定基礎には、家族手当や通勤手当などは含めなくてよいとされています。
問26:労働条件に関するルール
採用時に提示された労働条件と実際の労働条件が異なっていた場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。就業規則の不利益変更は、単に周知されているだけでなく、変更の合理性が求められます。最低賃金額を下回る賃金で契約した場合、その部分は無効となり、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は、高い方の最低賃金が適用される点も押さえておきましょう。
問27:学校教育における進路指導
中学校に置かれる進路指導主事は、生徒の進学に関する指導だけでなく、職業選択にかかる指導・助言や、関係機関との連絡調整にも関わる幅広い役割を担っています。「進学指導のみを担当し、職業選択には関わらない」という限定的な理解は誤りです。学校教育活動全体を通じて、生徒が自らの生き方を主体的に考えられるよう、計画的・組織的な進路指導を行うことが求められています。
問28:文部科学省が進めるキャリア教育
キャリア教育の推進にあたっては、生徒の特性や学校・地域の実態を踏まえ、地域や産業界等と積極的に連携・協力しながら取り組むことが求められています。「校内での活動に特化する」という閉じた方針ではなく、外部との連携を重視している点がポイントです。基礎的・汎用的能力として「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つが掲げられている点も定番の出題内容です。
問29:インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援
文部科学省・厚生労働省・経済産業省が示す基本的考え方では、インターンシップは学修と社会での経験を結びつけ、学生の教育的効果を高める取組と位置づけられています。「実質的に就職・採用活動そのものである」という断定的な捉え方は、この基本的考え方の趣旨とは異なります。あくまで教育的な意義を持つ取組であることが前提とされている点に注意が必要です。
問30:職場におけるメンタルヘルス対策等(過労死等防止対策白書)
民営事業所を対象にした調査では、メンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合や、規模別の傾向が示されます。「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」と回答した労働者の内容としては、一般的に**「仕事の質」よりも「仕事の量」に関する回答の方が多い**とされる傾向があり、この大小関係を逆に覚えないよう注意が必要です。
問21〜30は、労働統計の使い分けと、労働基準法・労働契約に関する細かいルールが中心でした。**「どの統計で何がわかるか」「原則の割合・数値(50%、35%など)を正確に覚えること」**が、この範囲の得点のカギになります。次回は問31〜40の範囲を解説します。
