問1〜30に続き、今回は問31〜問40で扱われたテーマを解説します。試験問題の文章そのものは転載せず、出題されたテーマの背景知識をオリジナルの解説としてまとめています。正確な問題文を確認したい方は、下記の公式サイトをご覧ください。
問31:人生の転機に関する理論家の整理
シャイン(Schein, E. H.)は組織内キャリア発達を「生物学的・社会的サイクル」「仕事・キャリアサイクル」「家族関係サイクル」という3つのサイクルで捉えました。岡本祐子は、青年期だけでなく成人期(中年期)のアイデンティティ再体制化を明らかにした研究者であり、「児童期から青年期」に焦点を当てたという理解は不正確です。ブリッジズが「終わり・中立圏・始まり」のプロセスを示したのに対し、クランボルツは転機そのものの3分類ではなく偶発性の活用を重視する立場です。理論家ごとの主張を正確に対応させることが重要です。
問32:LGBTに対するキャリアカウンセリング
LGBTの当事者を支援するキャリアカウンセリングでは、地域の身近なリソースについての情報提供や、多様な職業選択の可能性を「モデル」を通じて伝えること、LGBTの採用に積極的な企業が集まる合同説明会の紹介などが有効とされています。「女性的な側面を持つゲイの男性に、女性性が際立った職業を勧める」という対応は、性自認や性的指向に基づくステレオタイプな決めつけであり、不適切です。個人の特性や希望に基づいた支援が基本です。
問33:リハビリテーション・カウンセリングの理念
リハビリテーション・カウンセリングは、障害のある人が人生の目標を定め、それを達成できるよう支援し、様々な場面で自分自身の資源を活用して問題解決できるようになることを目指します。遺伝的・生物学的・心理社会的な個人の独自性に価値を見出し、その人のニーズに応じたサービスを提供する姿勢も特徴です。「障害や低下した身体能力だけに焦点を当てて支援する」という限定的な視点は、全人的な理解を重視するリハビリテーション・カウンセリングの理念とは相容れません。
問34:マイクロカウンセリングにおける「積極技法」
アイビイ(Ivey, A. E.)のマイクロカウンセリングでは、技法が階層構造で整理されています。「フィードバック」は、より能動的にクライエントに働きかける「積極技法」に分類されます。一方、「意味の反映」「感情の反映」「はげまし」は、クライエントの話を促進的に聴く「かかわり技法」に分類されるのが一般的です。同じ「技法」でも分類上の位置づけが異なる点に注意しましょう。
問35:カウンセリングにおける聴き方
良い聴き方とは、クライエントの体験(考え・感覚・感情・振る舞い)を細やかにありのままに受け止め、表情や声のトーン、視線、姿勢といった非言語的な部分にも注意を向け、カウンセラー自身の中に生じる感覚や思いにも心をオープンにしながら聴くことです。「聴いた話を自分なりの枠組みで分析し、打開策や改善策を提案することを目指して聴く」という姿勢は、クライエントをありのままに受け止める傾聴の本質とは異なり、不適切とされています。
問36:グループワークにおけるファシリテーターの心構え
ファシリテーターに求められる心構えとして重要なのは、「参加者の成長の力を信じる」という姿勢です。うまくいくかどうかがファシリテーター一人にかかっているという過度な自己責任の抱え込みや、楽しむことより頑張ることを優先する姿勢、準備さえ徹底すれば予期せぬ事態は起こらないという過信は、いずれも柔軟なグループ運営を妨げかねない考え方です。
問37:ジョブ・カードの職業能力証明(免許・資格)シート
このシートを作成する際は、取得した免許・資格を業種・職種に限定せず、必要な場面や用途に応じて幅広く分類・整理していくことが大切です。免許・資格の特長を踏まえ、様々な業種・職種での汎用性も視野に入れて、相談者の可能性を広げるように支援することが望まれます。「基準・目安が不明確な場合や、表現に困った場合は記載しない」という対応は不適切で、可能な範囲で工夫しながら記載していく姿勢が求められます。
問38:より良いキャリアコンサルティングを行うための留意点
自己理解・仕事理解などの各ステップを明確にしながら相談を進め、相談者と現在の相談の段階を確認しながら進めること、様々な社会資源や他機関との連携を図ることは、いずれも望ましい留意点です。「相談者は自分で問題を解決できないから相談に来ているのだから、積極的に解決策を提示し、それを実行させることが重要」という指示的な姿勢は、相談者自身の主体性を尊重するキャリアコンサルティングの基本とは異なります。
問39:國分康孝の「コーヒーカップ・モデル」
國分康孝が提唱したコーヒーカップ・モデルは、相談過程をコーヒーカップの形になぞらえて示したものです。相談の初期段階で行われるのは「リレーションづくり」、つまりクライエントとの信頼関係の構築です。その後、問題の把握や目標の設定、具体的な援助行為へと進んでいきます。
問40:自己理解
自己理解とは、単に自分を一つの側面から見つめることにとどまらず、自己の個性について知るだけでなく、自分が置かれている環境の中での自己について知ることも含む、幅広い概念です。他者との相互理解を重ねながら、より深い自己理解へとつながっていく側面もあります。自己とキャリアの関係は、人生の経験を通じて変化していくものであり、一度整理した自己理解が生涯にわたって固定的な指標になるわけではありません。
問31〜40は、多様性(LGBT・障害)への配慮とカウンセリングの基礎技法が中心でした。**「決めつけやステレオタイプに基づく対応を見抜くこと」「技法の分類(かかわり技法/積極技法など)を正確に覚えること」**が、この範囲の得点のカギになります。次回、最後の問41〜50の範囲を解説します。
