第29回キャリアコンサルタント試験 出題テーマ解説(問41〜50)|意思決定支援・キャリアコンサルタントの倫理をやさしく整理

アイキャッチ画像 キャリアコンサルタント

問1〜40に続き、今回は問41〜問50、第29回試験のラストパートを解説します。試験問題の文章そのものは転載せず、出題されたテーマの背景知識をオリジナルの解説としてまとめています。正確な問題文を確認したい方は、下記の公式サイトをご覧ください。

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問41:職業情報提供サイト(job tag)を活用した仕事理解の支援

job tagには、500以上の職業について文章や動画形式で解説する職業情報が掲載されており、相談者が主体的に職業を探索するツールとして活用できます。あわせて適職診断などの自己診断ツールも用意されており、「自己診断ツールは掲載されていない」というのは誤りです。求人情報が直接掲載され企業に連絡できる仕組みではなく、あくまで職業についての情報提供サイトである点、そして社会人だけでなく大学生などのキャリア教育・キャリア支援にも活用できる点も押さえておきましょう。

問42:中学校職場体験の教育的意義

文部科学省の「中学校職場体験ガイド」では、職場体験の教育的意義として、望ましい勤労観・職業観の育成、啓発的経験を通じた進路意識の伸長、社会の一員として共に生きる心や社会奉仕の精神の涵養などが挙げられています。「自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直し」というキーワードは、むしろ在職者向けの学び直し促進ガイドラインで使われる表現であり、中学校の職場体験ガイドが示す教育的意義として直接挙げられているものとは性質が異なります

問43:システマティックアプローチにおける意思決定の支援

意思決定支援では、相談者自身が主体的に考え、選び取っていくプロセスを大切にします。相談者が挙げた複数の選択肢について、あえて「軽い対決」(やや踏み込んだ問いかけ)を行い、その実現性を一緒に吟味することも、意思決定支援の一環として含まれます。キャリアコンサルタントが比較評価表を作って結論を主導したり、相談者のニーズに合う情報だけに絞り込んで提示したり、生成AIの情報をそのまま鵜呑みにして使ったりすることは、いずれも相談者自身の主体的な意思決定を尊重する姿勢とは異なります。

問44:キャリアコンサルティングにおける方策の実行

方策の行動計画では、実施項目・期間・達成レベルなどを明確にし、実行可能な計画になっているかを相談者と一緒に確認しながら作成することが基本です。相談者ごとに置かれた状況や価値観は異なるため、キャリアコンサルタントが標準的・画一的な対応にこだわるのではなく、個別性を踏まえた支援が求められます。一旦立てた方策も、状況の変化に応じて柔軟に見直してよく、進捗状況もキャリアコンサルタントと共有しながら進めることが望ましいとされています。

問45:就職・転職後のフォローアップ

若年者や障害者の就職・転職後のフォローアップでは、相談者自身の意識(職務や職場環境、人間関係に対する受け止め方)を確認することに加え、事業者側から見た本人への評価を聞き取ることもあります。フォローアップで得た情報は、相談者の適応を助けるだけでなく、キャリアコンサルタント自身の面談の質を高めるためにも活用すべきものです。不適応が判明した場合には、相談者との再面談だけでなく、本人と職場との調整を行うことも視野に入ります。

問46:カウンセリングの終結

カウンセリングの終結にあたっては、クライエントがカウンセリングを通じて学んだことを、今後どのように活かしていけるかを話し合うことが重要なプロセスです。終結は「二度と再開しない」という硬直的なものではなく、必要に応じて再度相談できる余地を残しておくことも自然です。目標が完全に達成されなくても終結を選択する場合はあり、終結すること自体がカウンセリングの失敗を意味するわけではありません。

問47:キャリアコンサルティングの普及(キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会報告書)

キャリアについて相談する意義を感じられていない労働者に対しては、キャリアコンサルタントがどのような支援を行っているのかを分かりやすく伝えることが重要とされています。働き方の多様化に伴う新たな課題への対応や、リスキリングを通じた生涯にわたる活躍の実現も、普及促進の観点から重要なテーマです。一方で、キャリアコンサルティングの好事例を発信する際、「相談者の同意がなくても実例に沿ってリアルに発信してよい」という考え方は、守秘義務やプライバシー保護の観点から明らかに不適切です。

問48:キャリアコンサルタントが行う自己研鑽

日常生活の中で相手の話の要点を捉える経験を積むことや、経験の浅いキャリアコンサルタントが熟達したキャリアコンサルタントによる面談をクライエントとして体験することは、いずれも有効な自己研鑽の方法とされています。事例記録・逐語記録を持ち歩く際には、クライエントや企業名、来談日を記号化するなど細心の注意を払う必要もあります。ロールプレイの主眼は、決まった型(質問の順番や決まり文句)を機械的に身につけることではなく、より本質的な対応力を養うことにあるため、「型の習得が主眼である」という理解は狭すぎます。

問49:キャリアコンサルティング実施のために必要な能力要件

キャリアコンサルタントには、企業内の支援制度の整備・運用に関する理解、人生の転機における受け止め方への理解、学校教育制度やキャリア教育のあり方への理解など、幅広い知識が求められます。精神疾患が疑われる相談者を適切な機関にリファーすることは重要ですが、「リファー後はいかなる場合でも支援できない」と一律に断定することは行き過ぎです。状況に応じて、専門機関と連携しながら継続的に関わっていく姿勢も求められます。

問50:キャリアコンサルタント倫理綱領

倫理綱領では、キャリアコンサルティングが相談者の人生全般に影響を与えることを自覚し、相談者の利益を第一義として誠実に責任を果たすことが基本姿勢として掲げられています。組織が置かれた環境だけに注目し、組織の要請にのみ応じるという偏った姿勢は適切ではありません。自己の身分や業績を過度にアピールし、自分の能力を超える業務にまで際限なく取り組むことも、専門職としての節度を欠く対応です。守秘義務についても、法令に基づく例外的な状況(自傷他害のおそれがある場合など)が存在し、「例外なくどのような場合でも秘密を守らなければならない」という理解は行き過ぎです。


これで第29回試験、問1〜50すべてのテーマ解説が完成しました。全体を通して、**「原則と例外(特に近年の法改正による変更点)を正確に押さえること」「相談者本人の主体性・利益を中心に据える姿勢」「一見もっともらしい断定的な記述を鵜呑みにしないこと」**という視点が、繰り返し問われていたことがわかります。次の試験対策にも、ぜひこの視点を活かしてみてください。

※本記事の解説は、キャリア理論・労働法規に関する一般的な知識をもとに作成したものです。公式の正答表と必ず照らし合わせてご確認ください。

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