問1〜10に続き、今回は問11〜問20で扱われたテーマを解説します。試験問題の文章そのものは転載せず、出題されたテーマの背景知識をオリジナルの解説としてまとめています。正確な問題文を確認したい方は、下記の公式サイトをご覧ください。
問11:精神分析における「逆転移」
精神分析でいう「逆転移」とは、クライエントが分析者に向けてきた感情や態度に対して、分析者の側に無意識に生じてくる反応のことを指します。似た用語の「転移」は、クライエントの過去の欲動や感情が分析者に向けて移しかえられる現象であり、逆転移とは向きが逆であることを正確に区別しておく必要があります。「洞察」や「解釈」といった、精神分析の他の基本概念とも混同しないよう注意しましょう。
問12:教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定する講座を対象とする制度です(内閣総理大臣ではありません)。給付率は訓練の種類に応じて2〜8割程度と幅があり、対象講座も資格取得やデジタル関係の講座に限らず、大学院の修士課程なども含まれます。また、失業状態にある人が初めて専門実践教育訓練を受講する場合、要件を満たせば教育訓練給付金に加えて教育訓練支援給付金も支給されるという点が重要なポイントです。
問13:セルフ・キャリアドック
セルフ・キャリアドックは、労働者が定期的に自らのキャリアを振り返り、主体的なキャリア形成を支援するための仕組みです。新入社員に限定されるものではなく、ベテラン社員や管理職も対象になり得ます。短期的な業績向上や人事評価そのものを目的とする制度ではなく、あくまで労働者一人ひとりの中長期的なキャリア形成を後押しする取組みとして位置づけられています。
問14:職場における学び・学び直し促進ガイドライン
このガイドラインでは、環境変化が激しい時代だからこそ、労働者の自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直しが重要であり、労使の協働が必要とされています。「企業が計画した研修を定期的に受けていれば、個人による主体的な学び直しは不要である」という考え方は、このガイドラインの趣旨とは相容れません。企業側が職務に必要な能力・スキルを明確にし、教育訓練プログラムを提供することは推奨されていますが、それはあくまで個人の主体的な学びを後押しするための取組みです。
問15:第11次職業能力開発基本計画
この計画では、IT化・デジタル化に対応した人材育成や、労働者のリ・スキリングと主体的なキャリア形成への支援、多様な人々(非正規雇用労働者・女性・若者・高齢者・障害者・外国人など)への職業能力開発支援が重点施策として掲げられています。職業能力評価の面では、各企業が独自の評価基準を設けることよりも、業界や職種を横断した評価基準の整備が重視されているとされており、「企業独自の評価基準の方が重視されている」という理解は、この計画の方向性とは異なります。
問16:雇用関係助成金
雇用関係助成金には様々な種類があります。人材開発支援助成金の「人への投資促進コース」では、海外の大学院を活用して経営に関する分野の訓練等を行う場合も、支給対象になり得ます。トライアル雇用助成金を活用して労働者を雇い入れた場合でも、要件を満たせば他の助成金と併用できる場合があり、「一切併用できない」というのは言い過ぎです。両立支援等助成金の各コースも、対象となる労働者の性別や休業の種類によって細かく制度が分かれている点に注意しましょう。
問17:セルフ・キャリアドックの実施(厚生労働省の方針資料)
面談の中でキャリアコンサルタントが、法令違反やハラスメントなど企業側が組織的に対応すべき内容を把握した場合、原則として相談者本人の同意を得たうえで、企業側に伝えるべきとされています。守秘義務を大切にしつつも、組織的な課題については適切なルートで共有していく姿勢が求められます。セルフ・キャリアドックの責任者を人事部門出身者に限定する必要はなく、キャリア研修の対象者構成や面談時間の長さについても、画一的な決まりがあるわけではありません。
問18:男性の育児休業取得状況(令和5年度雇用均等基本調査)
この調査では、男性の育児休業取得率や、取得期間の分布などが示されます。近年、男性の育児休業取得率は大きく上昇してきており、取得期間についても短期化から徐々に長期化する傾向がみられます。ただし、育児休業から復帰した男性の取得期間としては、依然として「2週間未満」という短期間の割合が最も高いとされており、「3か月〜6か月未満が最も多い」という理解は、調査結果の実態とは異なります。
問19:近年のわが国の失業率の特徴
日本の失業率は、国際的に見ても低い水準で推移してきたことが特徴です。2022年の日本の失業率は、アメリカ・イギリス・カナダ・フランスといった主要先進国と比較しても低い水準にあったとされています。新卒一括採用や長期雇用を前提とした労働慣行など、日本特有の労働市場の構造も、この背景として指摘されることがあります。
問20:近年のわが国の賃金の動向
日本の男女間賃金格差は、長期的には縮小傾向にあるとされていますが、依然として国際的に見て格差が大きい部類に入るとも指摘されています。男女間賃金格差は2010年代以降、緩やかな縮小傾向がみられるという大きな方向性を押さえつつ、雇用形態間・企業規模間での賃金格差についても、最新の統計データで具体的な水準を確認しておくことが対策のポイントです。
問11〜20は、精神分析の基礎概念と、雇用・労働に関する公的制度・統計データが中心でした。**「似た概念(転移と逆転移など)を正確に区別すること」「調査結果の数値の傾向を正確に覚えること」**が、この範囲の得点のカギになります。次回は問21〜30の範囲を解説します。
