問1〜30に続き、今回は問31〜問40で扱われたテーマを解説します。試験問題の文章そのものは転載せず、出題されたテーマの背景知識をオリジナルの解説としてまとめています。正確な問題文を確認したい方は、下記の公式サイトをご覧ください。
問31:メンタルヘルスケア
職場のメンタルヘルスケアは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つのケアで構成されるというのが公式の枠組みです。「同僚によるケア」という区分は正式な4つのケアには含まれていないため、混同しないよう注意しましょう。また、ストレスチェック制度は、常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務づけられているものであり、企業規模を問わずすべての事業者に義務があるわけではありません。ストレス反応が心理・行動・身体の各側面に現れるという基本理解も押さえておきたいポイントです。
問32:障害者への合理的配慮
合理的配慮とは、障害の種類や程度に応じて、個別に必要な調整を行うという考え方です。手話通訳者の配置、勤務時間の変更、試験問題の点訳・音訳などは、いずれも個々の障害特性に応じた配慮の例にあたります。一方で、「机の大きさや高さを他の従業員と一律にそろえる」という対応は、**個別のニーズに応じた調整とは逆の発想(画一化)**であり、合理的配慮の趣旨とは異なる点に注意が必要です。
問33:病気の治療と仕事の両立支援
厚生労働省のガイドラインでは、両立支援は労働者本人からの申し出を端緒に取り組むことが基本とされ、申し出しやすい環境整備が重要視されています。また、症状や治療方法は個人差が大きいため、個別事例の特性に応じた配慮が求められます。一方で、「相談者に離職を促す」という対応や、「仕事の繁忙を理由に就業上の配慮を例外的に省略してよい」という考え方は、ガイドラインの趣旨に反する不適切な対応とされています。
問34:キャリアコンサルティングにおける「キャリア」の意味
キャリアという言葉は、単なる「職業」や「一時点の転機」を指すのではなく、時間的な流れ・時の経過を含んだ、人生全体にわたる概念として捉えられます。スーパー(Super, D. E.)をはじめとする多くの理論家が、キャリアを職業生活だけでなく、家庭や地域社会での役割も含めた広い意味で定義してきました。試験でも、この「時間的流れ」という視点を軸にした選択肢が重視される傾向があります。
問35:ラポール(信頼関係)の構築
クライエントとの信頼関係(ラポール)は、クライエントが安心して話せる、脅かされない感覚を持てることが土台になります。面接の初期段階で急いで解決策を提案することは、かえって信頼関係の構築を妨げるとされています。まずはクライエントの語りや非言語的なメッセージから、そのニーズを丁寧に把握しようとする姿勢が、カウンセリングへの動機づけにもつながります。
問36:構成的グループエンカウンター
構成的グループエンカウンターは、國分康孝が日本に紹介・発展させた手法で、「ふれあい」と「自他発見」をねらいとしています。「構成的」とは、進行やテーマに一定の枠(構成)を与えるという意味です。この手法は、心理療法(治療的カウンセリング)としてではなく、学校教育やビジネス研修における人間関係づくり・自己成長を促す教育的な技法として広まってきた点が特徴です。
問37:マイジョブ・カードのキャリア・プラン作成補助シート
オンラインで提供されるマイジョブ・カードには、学生・在職者・求職者などあらゆる属性の人が同じ様式で利用できるという汎用性があります。自分の価値観に近い記入例を検索できる機能や、仕事を始めてから現在までを振り返る「ライフラインチャート」の作成機能などがあり、質問に回答していく中で自分の価値観ややりたいことを明確にしていく設計になっています。
問38:カウンセリングにおける「見立て」
「見立て」には、クライエントの問題を同定することと、見通しを立てて目標設定を行うことという2つの目的があります。問題の同定にあたっては、身体的要因・対人的環境的要因・生育史や性格的要因などを総合的に組み合わせて理解することが基本であり、精神医学的要因だけを最初に、あるいは特別に優先して検討するという限定的な考え方ではありません。
問39:job tag(職業情報提供サイト)の自己診断ツール
job tagが提供する心理テストのうち、職業適性テスト(Gテスト)は、計算問題があっても電卓を使わずに解答する設計になっています。職業興味検査や「しごとの価値観」検査は、就職の可能性や実現性を冷静に判断するのではなく、直感的に「やってみたいかどうか」を素直に回答することが推奨されています。作業性格テストは、様々な作業場面についての質問への回答から、作業性格のプロフィールを示す仕組みです。
問40:キャリアコンサルティングにおける「自己理解の支援」
自己理解の支援では、否定的な部分ばかりに目を向けるのではなく、肯定的な部分にも目を向けてバランスよく振り返ることが大切です。ホランド(Holland, J. L.)の理論は、パーソナリティと環境を6つの類型(RIASEC)に分類するものであり、8つに分類するという理解は誤りです。価値観を明らかにするための検査は、相談者との合意に基づいて適切に実施することが望ましく、ジョブ・カードも職業能力の証明だけでなく、自己理解の促進を目的の一つとしています。
問31〜40は、メンタルヘルス・障害者配慮といった職場環境の話題と、カウンセリングの基礎理論・自己理解支援のテーマが中心でした。「4つのケア」「6つの類型」のように正確な数・分類を覚えること、そして「個別性を重視する」という繰り返し出てくる考え方を意識することが、この範囲の得点のカギになります。次回、最後の問41〜50の範囲を解説します。
