2025年、石破首相が辞任を表明しました。突然の辞任によって総理大臣の座は空席となり、次のリーダーをどう選ぶかに国民の関心が集まっています。日本の総理大臣は、憲法や慣例に基づいて一定のプロセスで選出されますが、今回は与党が過半数割れしている国会という特殊な状況にあります。そのため、通常よりも複雑で予測困難な政局が展開される可能性があります。
本記事では、
- 日本の総理大臣が決まる仕組み
- 与党が過半数を失った場合の首相指名選挙の行方
- 自民党総裁選と連立交渉の重要性
- 過去の事例や国際的な影響
これらを整理しながら、わかりやすく解説していきます。


日本の総理大臣が決まる基本的な流れ
まず、通常時のプロセスを確認しておきましょう。
- 首相が辞任表明
→ 辞任した時点で内閣は総辞職扱いとなります。ただし新首相が選ばれるまでは職務を継続。臨時的に副総理や官房長官が代行する場合もあります。 - 自民党総裁選(与党内手続き)
→ 与党が政権を担う日本では、与党の党首=首相候補となります。自民党の場合、党則に従って総裁選挙が行われ、新総裁が決まります。 - 国会で首相指名選挙
→ 衆議院と参議院の両院で首相指名選挙が実施。最終的には衆議院が優越します。通常は与党が多数派のため、新総裁が首相に指名されます。 - 天皇による任命と新内閣発足
→ 首相に指名された人物が天皇により正式に任命され、組閣して新内閣が発足します。
これが「安定多数の与党」が存在する通常ルートです。
過半数割れの国会では何が起こるのか?
今回の想定では、自民党を中心とした与党が衆議院で過半数割れしています。これは極めて大きな意味を持ちます。
- 自民党が総裁選で新しい党首を選んでも、国会で首相に指名される保証がない。
- 衆議院の首相指名選挙では、野党が結束すれば別の候補を擁立して可決させる可能性がある。
- 衆参で異なる人物が選ばれた場合、最終的に衆議院が優越しますが、衆議院自体で多数を取れない与党は苦しい立場に。
つまり「自民党総裁 = 次期首相」とは必ずしもならず、連立工作や野党との協力が不可欠になります。
鳩山由紀夫内閣が誕生。政権交代は首相指名選挙で多数派を握ることが絶対条件であることを証明しました。

今後の想定されるシナリオ
自民党が連立を模索するシナリオ
自民党が過半数を失った場合、まず現実的に考えられるのは公明党や日本維新の会などとの連立再構築です。
- 公明党との関係
自民党と公明党は長年にわたり連立を組んできました。選挙区調整や国会運営においても公明党の支援は不可欠です。過半数を失った状況では、公明党が「キャスティングボート」を握るため、政策協定や大臣ポスト配分を巡る交渉が活発化します。 - 維新との可能性
近年、日本維新の会は「是々非々」の立場をとりながらも、自民党との政策面で一定の接点(憲法改正・規制改革など)があります。もし維新と組めば、与党の過半数復帰は現実味を帯びます。ただし、維新は「自民党の補完勢力」とみられることを避けるため、連立には高いハードルもあります。 - リスク
連立交渉に失敗した場合、自民党単独では首相指名を通せない可能性があります。また、連立成立後も政策のすり合わせが難航し、政権が不安定になるリスクもあります。
👉 ポイントは「連立相手の条件をどこまで飲めるか」。与党主導の政治が揺らぎ、妥協を重ねた結果、政策の一貫性が損なわれる可能性も高まります。
野党連合による首相擁立シナリオ
次に考えられるのが、野党が一致して首相候補を立てるケースです。
- 可能性
立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などが合意できれば、自民党候補を上回る票を得られる可能性があります。これはまさに1993年の「細川連立政権」の再現です。 - 課題
ただし野党間には政策の隔たりが大きく存在します。たとえば、立憲は護憲寄り、維新は改憲推進という真逆の立場をとっています。また経済・エネルギー政策においても違いが目立ちます。
したがって、「反自民」でまとまれるかどうかが最大の焦点となります。 - 過去の事例(細川政権)
非自民連立(社会党、公明党、新生党、日本新党など)が結集し、自民党を下野させた事例があります。これは与党が分裂・弱体化したときに、野党が連携して政権交代を果たせることを示しました。
しかし細川政権は政策の不一致から1年足らずで崩壊し、政治の不安定化を招いた点も見逃せません。
👉 野党が首相を擁立するには、「反自民」だけでなく「共通政策」や「政権運営の安定性」を示すことが求められます。
国会の混乱と解散総選挙シナリオ
最後に、国会で多数派が決まらないまま混乱が長引くケースです。
- 首相指名選挙が決まらない場合
衆参で異なる人物が選ばれた場合は衆議院の優越で決着します。しかし、そもそも衆議院で多数が定まらないと、政権の正統性が疑われ、政治空白が生じます。 - 解散総選挙というカード
憲法上、首相は衆議院を解散する権限を持ちます。もし新首相選出に行き詰まれば、「国民に信を問う」として解散・総選挙に踏み切る可能性があります。
過去にも混乱を打開するための「解散総選挙」が繰り返されてきました。 - リスクと影響
解散選挙は政権与党にとって賭けです。選挙結果次第では与党がさらに議席を減らすこともあります。また、選挙期間中は政治空白が続き、外交や経済政策に遅れが生じます。
特にウクライナ戦争や台湾有事、物価高騰といった国際・国内の危機がある中で、政治の空白は大きなリスクとなります。
👉 選挙は「究極のリセット」ですが、政局不安が長引けば国民生活への影響は計り知れません。
決選投票の仕組み
首相指名選挙は、衆議院と参議院でそれぞれ行われます。候補者が複数立った場合、過半数を得た人物がいなければ決選投票になります。
- 第1回投票
各議員が投票し、過半数(議席の半分+1)を獲得した候補がいれば、その人が首相に指名されます。 - 過半数に達しない場合
得票上位2人による決選投票が行われます。この場合、無所属や小政党の票がカギを握ることもあり、「キャスティングボート」を誰が握るかが大きな注目点となります。 - 衆参の不一致
衆議院と参議院で異なる人物が選ばれた場合は、憲法の規定により衆議院の決定が優先されます。
過半数割れ国会での決選投票の意味
今回の石破首相辞任後の状況では、自民党が衆議院で過半数を失っているため、第1回投票で自民党候補が過半数を取れない可能性が高いです。
その結果、決選投票に持ち込まれるケースが現実味を帯びています。
👉 つまり、決選投票では「第3党や中小政党の票がどちらにつくか」が勝敗を分けるポイントとなります。
これは、かつて参議院で与野党が拮抗した際の首相指名選挙でも見られたパターンです。
決選投票を見据えた連立交渉
- 自民党候補を有利にするために
公明党、日本維新の会、さらには一部野党との水面下交渉が必須。第1回投票で過半数を取れなくても、決選投票で支持を固められるかが重要になります。 - 野党連合候補の場合
立憲民主党や国民民主党だけでは議席数が足りません。維新や共産党まで含めて「反自民」で結束できれば、決選投票で自民党候補を上回る可能性があります。
石破首相辞任後の首相指名選挙は、第1回投票で決着がつかず、決選投票までもつれ込む可能性が高い。その際、キャスティングボートを握る政党や議員の動向が、新しい日本のリーダーを決定づける最大の要因となります。
まとめ:首相は「国会多数派の論理」で決まる
石破首相辞任後の首相指名プロセスは、与党が安定多数を持つ場合と、過半数割れしている場合で大きく異なります。
- 通常は「与党総裁 = 首相」
- 過半数割れでは「連立交渉」や「野党連合」の動き次第で首相が決まる
- 行方次第では「政権交代」や「解散総選挙」もありえる
つまり、次の総理大臣は単純に自民党の総裁が自動的に就任するのではなく、国会で多数派を形成できるかどうかが最大のポイントとなります。
政治の空白を避けるためにも、各党の動きから目を離せません。
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