【解説】走行距離課税問題の背景にある“自動車への重税構造”とは?なぜ日本の車税はここまで高いのか

好奇心ノート

国会で話題となった「走行距離課税」。
政府は現時点で「検討していない」と明言しましたが、なぜここまで国民の反発が強いのでしょうか。
その背景には、すでに日本のドライバーが世界でも類を見ないほど多くの税金を負担している現実があります。

自動車は「買う」「持つ」「使う」のすべての段階で課税される、いわば“税の総合パッケージ”。
今回は、走行距離課税問題の根底にある自動車への重税構造を詳しく解説します。


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自動車にかかる税金は「3段階課税」構造

日本では、車を持つときに3段階で税金が課されます。
1️⃣ 購入時
2️⃣ 保有時
3️⃣ 使用時
それぞれに異なる税金が設定されており、ドライバーは常に複数の税を負担しています。


① 車を「買う」ときにかかる税金

税の種類内容税率・目安
環境性能割(旧・自動車取得税)燃費性能に応じて課税。燃費の良い車ほど軽減車両価格の0〜3%
消費税車両本体やオプション、登録費用などに課税10%

たとえば、200万円の車を購入した場合、
環境性能割(3%)で約6万円、消費税で約20万円、合計約26万円の税負担となります。

車を買う段階からすでに、価格の1割以上が税金という計算です。


② 車を「持つ」ときにかかる税金

税の種類内容年間負担の目安
自動車税(種別割)排気量ごとに課税される都道府県税2〜5万円前後(普通車)
軽自動車税軽自動車にかかる固定税年1万800円(定額)
自動車重量税車の重さ・経過年数に応じて課税。車検時にまとめて納付年0.75〜2.5万円程度
自賠責保険料法定の損害賠償保険(税ではないが義務的負担)年約1.2〜1.5万円

普通車なら年間6〜10万円、軽自動車でも年間3〜5万円ほどの固定費がかかります。
特に、重量税は車検のたびに支払いが必要なため、家計には大きな負担となっています。


③ 車を「使う」ときにかかる税金

税の種類内容負担の特徴
ガソリン税(揮発油税+地方揮発油税)1リットルあたり約53.8円課税実質“税に税”の二重課税構造
軽油引取税軽油に課される税金1リットルあたり約32.1円
消費税ガソリン代全体に10%課税ガソリン税部分にも上乗せされる

たとえば、ガソリン価格が180円/Lの場合、
そのうち約80円前後が税金です。
つまり、給油額の約45%が税金に消えています。


「走行距離課税」は“第四の税負担”になる恐れ

このように、車を持つだけで「買う・持つ・使う」の3段階で課税されている日本。
そこに新たに「走行距離課税」が導入されれば、実質的な四重課税となる恐れがあります。

走行距離課税は、電気自動車(EV)やハイブリッド車の普及によりガソリン税収が減少する中、
「走行距離に応じて課税することで公平性を保つ」との目的で一部から提案されてきました。

しかし、実際には

  • 移動が多い地方ほど負担が重くなる
  • 経済活動や物流への影響が避けられない
  • 自動車ユーザーにさらなる増税感

といった問題があり、国民の強い反発を招いています。


日本は“車に厳しい国” 世界との比較

国際的に見ると、日本の自動車関連税はかなり高水準です。

国名自動車関連税の特徴負担の傾向
日本多段階課税・二重課税構造(ガソリン税+消費税)高い
アメリカ州ごとの登録税中心、ガソリン税は低め低い
ドイツCO₂排出量課税・年額制中程度
フランス環境負荷に応じた課税、補助金制度も中程度〜高め

日本では、車関連の税収が年間約8兆円規模にのぼり、その一部は一般財源として国や自治体に使われています。
つまり、「道路整備」だけでなく、「他分野の財源」としても活用されており、車ユーザーの負担が公共財政を支えているのが現状です。


まとめ:走行距離課税よりも必要なのは「税の一本化」

日本の自動車税制は、制度が複雑で負担が重い“多重課税構造”になっています。
その上に走行距離課税を導入すれば、国民の生活コストは確実に上昇します。

むしろ今求められているのは、

  • 自動車税や重量税、ガソリン税の整理・統合
  • 環境性能を反映した合理的な税体系への見直し
  • 地方ドライバーへの公平な負担配分

こうした「持続可能な車社会」に向けた税制改革こそが、政治に求められています。

走行距離課税の議論を通じて、私たちは改めて――
「車にどれだけ税金を払っているのか」
という現実を直視する必要があるのです。


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