なぜ中国は高市早苗首相を警戒するのか？台湾・防衛・経済安保に見る本当の理由

日本初の女性首相として誕生した 高市早苗首相。その就任直後から、隣国・中国が強い警戒感を示している。
中国メディアでは「最もタカ派的な日本の政治家」「日本版サッチャー」と評されることもあり、彼女の発言や外交方針が注目を集めている。

なぜ中国はここまで高市首相を嫌うのか――。
背景には、台湾支援の明確な姿勢、防衛力強化への強い意志、経済安全保障の強化策、そして歴史認識や靖国問題へのスタンスがある。

本記事では、中国が高市政権を「要注意」とみなす理由を、外交・安全保障・経済の3つの側面からわかりやすく解説する。

台湾・安全保障への強硬姿勢

高市首相は、台湾問題を「日本の安全保障にも直結する重大事案」と位置づけ、日台の協力強化を訴えています。これに対し中国は、台湾を「自国の領土」として一方的な現状変更を辞さない立場を取っており、日本が台湾支援や日台関係強化に本格的に関与する可能性を強く警戒しています。

また、高市政権は防衛・安全保障面でも積極的な姿勢を見せており、これまで抑制されてきた事項（憲法９条改正、自衛隊の役割強化など）に踏み込む可能性が示唆されています。こうした動きは、中国側から「地域の軍事バランスが変化するかもしれない」と受け取られています。

高市首相は過去、靖国神社参拝などをめぐる発言・行動が報じられており、中国側では「日本が戦後の侵略を反省せず、軍国主義の色彩を帯びた動きを再燃させている」と見る向きがあります。

中国外務省の言葉として「日本は歴史・台湾などの重大課題において政治的な約束を守るべきだ」と語っており、これは日本側の過去・戦後責任に対する中国の敏感さの表れといえます。

高市首相は、半導体や資源、サプライチェーンといった「経済安全保障」の観点から中国依存の見直しを含む政策を示唆しており、中国側はこれを「自国の影響力低下につながる可能性がある」と捉えて警戒を強めています。

自民党–維新による新連立政権は、過去の与党体制よりも安全保障・外交姿勢が強めになるとの分析があります。中国としては、こうした体制変化が日中関係に新たな波をもたらすことを懸念しています。

中国外務省は高市首相就任を「日本の内政問題」と表現しつつも、「歴史・台湾・中国との戦略的関係という重大課題で、日本はこれまでの合意・政治的約束に忠実でなければならない」と述べています。

このような言い方からは、断絶を求めるよりも「現状維持」あるいは「日本がこれまでの枠組みに留まること」を望む姿勢が読み取れます。つまり、中国にとっては「高市政権がこれまでの枠を超えて動くならば、日中関係が不安定化する」という懸念があるわけです。

中国側の表現を見ても、「明確な敵視」というよりは「警戒・牽制」というニュアンスが強く出ています。高市政権が示す以下のような政策方向性が、中国にとってはリスクとして映っていると言えます：

これらが、従来の日中関係の枠組みを揺さぶる可能性を含んでいるため、中国側は慎重かつ警戒の姿勢を強めていると見られます。

高市早苗首相が中国にとって警戒の対象となる背景には、

このため、中国は「彼女が既存の約束・枠組みに忠実に動くか」「日中関係の安定を維持できるか」を注視しており、同時に「変化の兆し」に対して警戒を強めていると言えるでしょう。