北朝鮮が繰り返し発射を続ける「ICBM(大陸間弾道ミサイル)」――。
そのたびに日本列島上空を通過し、Jアラートが発動するなど、国民の不安が高まります。
では、そもそもICBMとはどのような兵器で、なぜ北朝鮮は定期的に発射を行うのでしょうか。
背後には、単なる軍事訓練ではなく、外交・国内政治・技術実験といった複数の狙いがあります。
この記事では、ICBMの仕組みと北朝鮮の発射意図を、わかりやすく解説します。



ICBMとは何か?
ICBM(大陸間弾道ミサイル:Intercontinental Ballistic Missile)とは、
射程距離が 5,500km以上 に及ぶ長距離弾道ミサイルのことを指します。
これは、核弾頭を搭載し、他大陸まで到達できる兵器であり、
米国やロシア、中国などの核保有国が保有しています。
弾道ミサイルは発射後、宇宙空間に一度出てから再び地球に落下する「放物線軌道」で飛行します。
ICBMはその中でも最も射程が長く、北朝鮮がアメリカ本土を直接攻撃可能にする兵器として開発しているものです。
北朝鮮のICBM開発の歴史
北朝鮮は1990年代から弾道ミサイル開発を進めてきました。
初期のミサイルは中距離型(MRBM)でしたが、次第に長距離化・高性能化が進みました。
主なICBM関連ミサイルは以下の通りです👇
| 名称 | 初登場年 | 推定射程距離 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| テポドン2号 | 2006年 | 約6,000km | 初のICBM級ミサイル。開発初期段階。 |
| 火星14(Hwasong-14) | 2017年 | 約10,000km | 初めて米本土到達の可能性を示唆。 |
| 火星15 | 2017年末 | 約13,000km | 核弾頭搭載を想定した大型ICBM。 |
| 火星17 | 2022年 | 約15,000km | 世界最大級の液体燃料ICBM。複数弾頭搭載可能とされる。 |
これらの発射実験は、国際社会に対する示威行為(デモンストレーション)の意味合いが強く、
技術的な誇示と政治的メッセージの両方を兼ねています。
なぜ北朝鮮はICBMを定期的に発射するのか?
北朝鮮がICBM発射を繰り返す理由は、単なる軍事訓練ではなく、複数の政治的・戦略的目的があります。
① 対外的な圧力・交渉カード
北朝鮮にとってICBMは、「外交交渉の切り札」です。
アメリカや日本、韓国との関係で譲歩を引き出すため、軍事的挑発を行い、
“緊張を高めてから交渉に持ち込む”という戦略を長年取っています。
発射のタイミングも、米韓軍事演習や国際制裁強化の時期に合わせることが多く、
「報復」「牽制」「圧力」の意味を持ちます。
② 国内向けの体制強化アピール
ICBM発射は、北朝鮮国内における金正恩政権の権威強化にもつながります。
成功すれば、「偉大な指導者が国を守る力を持っている」という宣伝材料になり、
国民の支持と忠誠心を高める効果があります。
特に経済制裁や自然災害で国民生活が悪化している時期には、
軍事成果を強調して「外敵に屈しない強国」を演出する傾向があります。
③ 技術実験と軍事力の誇示
ICBMの発射は、単なる政治的メッセージだけでなく、軍事技術の実験でもあります。
北朝鮮は各発射を通じて、
- 弾頭の耐熱性
- 発射角度(ロフテッド軌道)の調整
- 複数弾頭(MIRV)搭載の実験
などを進めており、核攻撃能力の実用化を目指しています。
④ 国際社会への挑戦
国連安保理決議では、北朝鮮の弾道ミサイル発射は明確に禁止されています。
それにもかかわらず北朝鮮は発射を繰り返し、
「国際社会の制裁には屈しない」という政治的メッセージを発しています。
これは、特にアメリカ・日本・韓国に対して
「我々は核保有国として認められるべき存在だ」という主張を込めた行動でもあります。
日本・国際社会への影響
北朝鮮のICBM発射は、日本の安全保障に直結する重大問題です。
ミサイルの一部は日本上空を通過し、Jアラート(全国瞬時警報システム)が発動することもあります。
これにより、
- 自衛隊のミサイル防衛強化
- 米韓・日米同盟の軍事演習強化
- 国際的な制裁・外交圧力の再強化
など、地域全体の緊張が高まります。
まとめ:北朝鮮のICBMは「政治と軍事の両面兵器」
北朝鮮が定期的に打ち上げるICBMは、単なる兵器実験ではなく、
政治的圧力・国内統制・技術誇示を兼ねた複合的な行動です。
つまり、
北朝鮮のICBM発射=外交カード × 体制宣伝 × 軍事実験
この3つの目的が重なっており、
発射のたびに東アジア情勢は揺れ動くのです。


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