ニュースでよく耳にする「〇〇さんが書類送検されました」という言葉。
でも、「書類送検=逮捕」だと思っている人も多いのではないでしょうか?
実は書類送検は「逮捕」とはまったく別のもので、多くのケースではその後 不起訴処分 になって終わることが多いんです。
さらに、被害者との 示談 があると結果が大きく変わることも。
今回は、ちょっとややこしい「書類送検」と「不起訴」、「示談」の関係を、初心者向けにわかりやすく整理してみます。



書類送検とは?
まず「書類送検」とは、警察が捜査した事件について、
事件の記録や書類を検察に送ること を指します。
- 警察が「事件の疑いがある」と判断
- でも身柄を拘束する必要がない(逃げない、証拠隠滅の可能性が低い)
- だから「逮捕」ではなく「送検」という形にする
つまり、書類送検は 事件を検察にバトンタッチしただけ。
この時点ではまだ「罪が確定した」という意味ではありません。
不起訴になることが多い理由
検察は送られてきた事件をチェックし、
- 起訴(裁判にかける)
- 不起訴(裁判にしない)
のどちらかを決めます。
実際のところ、軽い交通事故や小さなトラブルの場合は、ほとんどが 不起訴処分 になります。
その理由は…
- 証拠が十分ではない
- 初めての違反で反省している
- 被害者と示談が成立している
- すでに社会的制裁(世間の非難など)を受けている
などです。
👉 なので「書類送検=犯罪者」ではないんですね。
不起訴になるのにニュースになるのはなぜ?
ここでよくある疑問。
「どうせ不起訴になるのに、なぜニュースで大きく取り上げられるの?」
理由はシンプルです。
- 送検された時点で事件化したとみなされるから
- 有名人や政治家なら注目度が高いから
- 不起訴の判断には時間がかかるから
そのため、あとで「不起訴でした」と報じられても、最初の「送検された」という印象だけが残ってしまうんです。
👉 特に芸能人や有名人にとってはイメージダウンが大きい部分ですね。
示談の重要な役割
ここでポイントになるのが「示談」です。
示談とは、加害者が被害者に謝罪や賠償を行い、
被害者が「もうこれで解決」と合意すること。
- 被害者が「処罰を望まない」と言えば、不起訴になりやすい
- 特に名誉毀損や軽い傷害事件では、示談が成立すれば事件終了になることもある
ただし、死亡事故や悪質な事件では示談しても起訴されるケースがあります。
刑事事件と民事事件の違い
よく混同されますが、両者は目的も進め方も異なります。
刑事事件
- 目的:国家が犯罪を処罰するために行う。
- 進め方:警察が捜査 → 検察が起訴 → 裁判 → 判決。
- 結果:懲役、禁錮、罰金などの刑罰。
民事事件
- 目的:被害者が加害者に損害の補償を求める。
- 進め方:被害者(または遺族)が加害者を訴える。
- 結果:慰謝料、治療費、損害賠償の支払い。
👉 簡単に言えば、刑事は「処罰」、民事は「補償」です。
自宅で自分の子どもをひいてしまった場合はどうなるか
悲しい事故ですが、実際に起きているケースです。
刑事責任
- 「過失運転致死傷罪」に問われる可能性があります。
- ただし、悪質性が低い場合(飲酒・無免許などがない場合)、逮捕されずに書類送検 → 不起訴処分になることが多いです。
民事責任
- 被害者が自分の子どもで、加害者が親。
- 遺族=加害者という関係になるため、裁判は行われないケースが多い。
- ただし、自動車保険(対人賠償)が適用される場合があり、保険金が支払われることがあります。
行政処分
- 警察による免許停止や取り消しの対象になる可能性があります。
👉 法的責任よりも「社会的な制裁」や「精神的ショック」の方が大きい事例といえるでしょう。
まとめ
- 書類送検=事件を検察に送っただけ。逮捕とは違う。
- 多くのケースは不起訴で終わるが、ニュースで「送検」と先に出てしまう。
- 示談が成立すると不起訴の可能性がぐっと高まる。
- だからニュースを見たときは「まだ有罪が決まったわけじゃない」と冷静に受け止めることが大切。
コメント