契約の解除とは、いったん有効に成立した契約を“なかったこと”にする制度です。宅建試験では、この解除に関するルールが頻出。解除には「法定解除」と「約定解除」の2つがあり、それぞれ適用条件や効果が異なります。この記事では、債務不履行を理由とする法定解除、手付解除や買戻しなどの約定解除について、具体例を交えて解説します。
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契約解除とは?2つの種類
契約解除は、成立した契約を“なかったこと”にする一方的な意思表示による制度です。解除には以下の2つがあります:
- 法定解除:民法で定められた解除事由がある場合(例:債務不履行)
- 約定解除:契約の中で当事者間であらかじめ定めた解除(例:手付解除・買戻し)
【法定解除】債務不履行による解除
履行遅滞による解除
債務者が期限までに履行しない場合、相当の期間を定めて催告し、それでも履行されなければ解除が可能です。
- 催告と同時に解除の意思表示をしておくことも可能
- 定期行為(例:暑中見舞いの送付など)の場合、催告は不要
- 催告不要とする特約も有効(賃貸契約書などに多い)
- 同時履行関係(売買など)では、相手に履行を提供しないと解除不可
履行不能による解除
履行が債務者の責任で不可能になった場合は、催告なしで即時解除できます。例:火災で目的物が消失など。
催告とは?
債務者に最終的な履行の機会を与える制度。
- 「相当の期間」とは、すぐに履行できるよう準備ができている前提での必要最小限の期間。
- 不相当でも、客観的に相当なら解除権は有効に発生
- 履行が軽微な不履行であれば解除はできない
- 債務者の責任(故意・過失)は不要(つまり催告しておけばOK)
解除権の行使と制限
- 解除は一方的な意思表示で完了(相手の同意不要)
- 一度解除すると、撤回はできない
- 解除権不可分の原則:当事者が複数の場合、全員で一括して解除をしなければならない
解除の効果
- 未履行の債務は消滅(履行不要)
- 履行済みのものはお互い返還義務(原状回復義務)
- 債務者は、金銭返還にあたり利息を付けて返す義務あり
- 解除だけでは償えない損害がある場合は損害賠償請求も可能
第三者との関係
契約が解除されても、第三者の権利がすでに成立している場合には制限されます。
- 解除前に第三者(C)が登記をしていれば保護される(善意・悪意関係なし)
- 解除後に買った場合は登記の先後で決まる(これも善意・悪意問わず)
💡詐欺解除とは異なり、債務不履行による解除では悪意の第三者も保護される点に注意!
【約定解除①】手付解除のルール
解約手付とは?
売買契約で交付される手付は「解約手付」と推定されます。
- 買主は手付放棄で解除OK
- 売主は手付の倍返しで解除OK
- 手付契約は、売買契約と同時でなくてもOK(履行期前なら)
解除できるタイミング
- 解除できるのは「相手が履行に着手する前まで」
- 履行に着手とは:工事開始や支払い意思表示など
- 自分が着手していても、相手が着手前なら解除OK
損害賠償との関係
- 手付解除をした場合、損害賠償は請求できない
- 債務不履行による解除とは効果が異なる
- 債務不履行で解除された場合は、手付は返還(原状回復)+損害賠償可
【約定解除②】買戻し特約のルール
買戻しとは、不動産の売主が将来的に物件を買い戻せる権利を持つ特約です。
- 売買契約と同時に契約する必要あり
- 登記すれば第三者に対抗可能
- 買戻し期間は最大10年(超えたら10年に短縮)
- 期間を定めなければ5年とみなす
- 利息の支払い義務は原則なし
まとめ:宅建試験対策のポイント
契約解除には複数のパターンがあり、それぞれの成立要件と効果を区別して覚えることが重要です。特に、催告の有無・第三者保護・解除権の行使方法といった論点は、宅建試験でよく問われるため重点的に対策しましょう。
項目 | 法定解除 | 手付解除 | 買戻し |
---|---|---|---|
根拠 | 債務不履行 | 当事者の合意 | 特約 |
要件 | 履行遅滞+催告/履行不能 | 履行に着手前 | 契約時に合意・登記 |
効果 | 原状回復+損害賠償 | 原状回復のみ/損害賠償なし | 買戻しできる(代金返還) |
試験頻度 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
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