保証協会に関する出題は、宅建試験で原則毎年1問出題される重要分野です。この記事では、「宅地建物取引業保証協会(以下、保証協会)」の制度と、営業保証金制度との違いを意識しながら、試験対策に役立つポイントを解説します。
1. 保証協会とは?
保証協会は、宅建業者だけが加入できる一般社団法人で、国土交通大臣の指定を受けた団体です。現在、次の2つがあります。
- 全国宅地建物取引業保証協会
- 全日本不動産協会(不動産保証協会)
宅建業者は、保証協会に加入することで、営業保証金を供託せずに宅建業を始めることが可能になります。
2. 保証協会の業務
保証協会には2種類の業務があります。
業務の種類 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
必須業務 | 苦情解決、研修、弁済 | 試験で出やすいキーワード |
任意業務 | 大臣の承認が必要 | 暗記は不要、流れを理解する程度でOK |
3. 弁済業務保証金分担金の納付
保証協会に加入するには、以下の「分担金」を現金で納付する必要があります。有価証券は不可です。
事務所の種類 | 納付額 | 納付期限 |
---|---|---|
主たる事務所 | 60万円 | 加入日まで |
支店(1店舗) | 30万円 | 支店設置日から2週間以内 |
4. 弁済業務保証金の供託(保証協会の役割)
保証協会は、分担金の納付を受けた場合、1週間以内に同額の弁済業務保証金を供託します。供託先は、法務大臣・国土交通大臣が指定した供託所です。
・弁済業務保証金の供託→金銭 or 有価証券で可能
この届け出は宅建業者ではなく保証協会が行う点に注意しましょう。
5. 弁済業務保証金の還付
宅建業者と取引した顧客が損害を受けた場合、保証協会の弁済業務保証金から還付を受けられます。
✅還付の重要ポイント
- 加入前の取引でも還付対象になる
- 還付には保証協会の認証が必要
- 供託所へ還付請求を行う
還付後、保証協会は同額を再び供託し、宅建業者(社員)はその分を保証協会に納付します。
6. 社員の地位を失った場合
保証協会の社員でなくなった宅建業者は、1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません。この期限を過ぎると、宅建業の継続ができなくなります。
7. 弁済業務保証金の取戻しと分担金の返還
以下の2つのケースで、保証協会は供託所から弁済業務保証金を取り戻し、宅建業者に分担金を返還できます。
ケース | 公告の要否 |
---|---|
還付請求権者がいる可能性あり | 6ヶ月以上の公告が必要 |
一切還付が発生していない | 公告不要で取戻し可能 |
✅まとめ:試験に出るポイント一覧
項目 | 覚えるべき内容 |
---|---|
保証協会の種類 | 2つのみ、重複加入不可 |
必須業務 | 苦情・研修・弁済(暗記) |
納付額 | 主60万・支店30万(現金のみ) |
納付期限 | 支店設置日から2週間以内 |
供託期限(保証協会) | 分担金納付から1週間以内 |
地位喪失時の対応 | 1週間以内に営業保証金を供託 |
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