📘 宅建の勉強をこれから始めるなら、まずは信頼できるテキストを1冊持っておくことが最優先です。
この記事は、そのテキストと併用することで理解が一気に深まります。独学でもつまずかず、最短で合格を狙うには「参考書+実践解説」の組み合わせが効果的です。

宅建業法とは?
宅地建物取引業法(通称:宅建業法)は、「宅地」や「建物」の取引に関して、
- 不動産業者の行動ルール
- 免許制度
- 消費者保護の仕組み
などを定めた法律です。
この法律の目的は、不動産取引に関わるトラブルを防ぎ、安心・安全な取引を実現することです。
宅建業とは?(=宅建業法の適用対象)
宅建業の定義(宅建業法2条)
以下のすべてに当てはまる場合、「宅建業」に該当し、原則として免許が必要になります。
要件 | 内容 |
---|---|
①対象物件 | 宅地または建物 |
②取引形態 | 自ら取引 or 代理・媒介 |
③反復継続の意思 | 業として行う(反復・継続性がある) |
ただし、宅建業免許が不要なケース
自己の不動産の売買
→ 自分が所有する土地や建物を売却するだけなら宅建業には該当しません(例:自宅を一度だけ売る)。
自己所有物件の賃貸
→ 所有者が自分の物件を貸す行為(大家業など)は宅建業ではないため、免許不要です。
国や地方公共団体の取引
→ 国・都道府県・市町村などの公共団体は、宅建業免許なしで不動産取引が可能です。
信託会社・信託銀行による取引
→ 信託業務の一環として不動産を取り扱う場合、宅建業免許は不要とされています。
反復継続しない不動産取引
→ 一度限りの売買や交換など、「反復継続の意思」がなければ宅建業には該当しません。
自己所有建物の賃貸
→ 所有する建物を自ら貸す行為(貸しビル、駐車場経営など)も、宅建業に該当しません。
対象物件:宅地・建物とは?
- 宅地:建物が建っている土地、または将来建物を建てる予定の土地
- 建物:居住用・店舗用など、すべての建築物が対象(用途は問わない)
宅地と認められる例:
・現に建物が建っている土地
・建物を建てる目的で取引される土地都市計画法で定められた用途地域内の土地 (道路、公園、河川などを除く)用途地域外でも、建物の敷地として利用される土地
宅地と認められない例:
・農地、採草放牧地、森林など
・道路、公園、河川、広場、水路など、公共の用に供されている土地
宅建の取引形態とは?【売主・代理・媒介の違いを整理】
不動産取引において、宅建業者がどのような立場で関与しているかを示すのが「取引形態(取引態様)」です。
主に以下の3つがあります。
取引形態の種類
- 売主:不動産会社が自社所有の物件を販売する場合。
- 代理:不動産会社が売主(または買主)の代理人として、売買契約などの手続きを行う場合。
- 媒介(仲介):不動産会社が売主と買主の間に入り、取引を仲介する場合
取引態様の明示義務(宅建業法 第34条)
宅建業者は、不動産広告を出すときや、顧客から注文を受けたときに、必ず取引形態を表示(明示)する義務があります。
- 目的:消費者が不利益を被らないよう、取引の透明性を確保するため
- 違反時の罰則:指示処分や業務停止命令の対象になることも
取引形態 | 意味 | 手数料 | 責任の重さ |
---|---|---|---|
売主 | 自社物件の販売 | ✕不要 | ◎重い(売主責任) |
代理 | 契約を代行 | ○必要 | ○普通(代理権の範囲内) |
媒介 | 契約を仲介 | ○必要 | △軽い(媒介責任) |
※「代理」「媒介」も宅建業に含まれます!
「業」とは何か?反復継続の判断基準
【業にあたるかのポイント】
- 営利目的で、繰り返し取引をする意思・態様がある
- 1回の取引でも、「今後も続ける意図」が見られれば業と判断されることも
例:転勤のたびにマイホームを売却している ⇒ 業ではない(個人の事情)
複数の投資物件を継続的に仲介している ⇒ 業にあたる可能性あり
無免許事業等の禁止【宅建業法 第12条】
宅建業を営むには、必ず免許が必要です。免許がないのに営業・表示・広告をすると法律違反になります。
① 無免許営業の禁止(法第12条第1項)
- 内容:免許なしで宅建業を行うのは違法
- 罰則:3年以下の懲役 or 300万円以下の罰金(または両方)
- ※宅建業法で最も重い処罰
② 無免許の表示・広告の禁止(法第12条第2項)
- 内容:たとえ営業していなくても、看板や広告で「宅建業者」と表示するだけでも違法
- 罰則:100万円以下の罰金
名義貸しの禁止【宅建業法 第13条】
名義貸しとは、他人が宅建業をするために、自分の免許名義だけを貸す行為です。
例 | 解説 |
---|---|
免許を持つAが、無免許のBに名義を貸してBが営業 | ⇒ AもBも処罰対象に! |
法人Aの名義で、実際には法人Bが営業 | ⇒ 法人間でもNG! |
① 名義貸しによる営業の禁止(法第13条第1項)
- 内容:免許を持つ業者が、自分の名義で他人に営業させる行為は違法
- 罰則:3年以下の懲役 or 300万円以下の罰金(または両方)
② 名義貸しによる表示・広告行為の禁止(法第13条第2項)
- 内容:営業していなくても、名義を貸して看板や広告に使わせるだけでも違法
- 罰則:100万円以下の罰金
③ 名義を借りた側の罰則
- 営業を行った場合:
→「無免許営業」に該当し、3年以下の懲役 or 300万円以下の罰金(または両方) - 表示や広告だけ行った場合:
→「無免許広告」に該当し、100万円以下の罰金
✅ 試験対策ポイントまとめ
チェック項目 | ポイント |
---|---|
宅建業とは? | 宅地・建物の取引(売買・貸借)を反復継続して行う |
免許は必要? | 自ら取引・代理・媒介をするなら必要 |
無免許営業とは? | 免許なしで宅建業を行う行為。刑事罰あり |
名義貸しとは? | 他人に免許名義だけを使わせる行為。違法・処罰対象 |
🏁 まとめ:宅建業の範囲と免許の必要性をしっかり理解しよう!
宅建業法の最初の関門は、「どんな行為が宅建業に該当するのか」を正しく理解することです。
- 「宅地・建物の取引」+「代理・媒介」+「業として行う」の3点セットを押さえましょう。
- 無免許営業や名義貸しは、知らずにやってしまうと大きなトラブルにつながるため、試験だけでなく実務でも重要な知識です。
コメント