宅建業者に課される「業務上の規制」は、宅建試験でも定番の出題テーマ。常識で判断できる問題も多く、確実に得点したい分野です。この記事では、重要なルールを整理して一気に復習できるようにまとめました。
1. 業務上の基本原則
■ 信義誠実の原則(業務処理の原則)
- 宅建業者は、取引相手に対し、信義をもって誠実に業務を行うことが義務。
- 宅建士は信用・品位を損なう行為をしてはならず、業務外でも品格が問われる。
2. 供託所等に関する説明
「供託所等に関する説明」は重要事項説明(35条書面)とは別物です。内容の違いを押さえておく必要があります。
比較項目 | 重要事項説明(35条) | 供託所等の説明 |
---|---|---|
説明者 | 宅建士 | 宅建業者(従業者もOK) |
相手方 | 買主・借主(交換含む) | 契約の両当事者 |
方法 | 書面交付(記名・押印) | 口頭でOK |
時期 | 契約成立前 | 契約成立前 |
違反 | 業務停止等 | 指示処分 |
🔸 宅建業者が保証協会未加入なら「営業保証金の供託所と所在地」を説明
🔸 加入している場合は「保証協会の名称・所在地・社員である旨」などを説明
🔸 どちらも相手が宅建業者なら説明不要
3.守秘義務
宅建業者およびその従業者は、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
✅ 漏らしてもよい例:
- 本人の同意あり
- 裁判・税務調査など正当な公的理由
🔸 守秘義務は退職後・廃業後も継続
🔸 違反すると50万円以下の罰金
🆚 個人情報保護法との違い
- 個人情報保護法:個人情報が対象
- 守秘義務:業務上の秘密全般が対象
4.宅建業者に禁止されている主な行為(重要!)
禁止事項 | 内容とポイント |
---|---|
❶ 不当な履行遅延 | 登記・引渡し・支払いを不当に遅らせる行為は禁止(不可抗力は除く) |
❷ 重要な事実の不告知・不実告知 | 故意に事実を隠したり、虚偽を伝えると重い罰則対象(刑事罰あり) |
❸ 高額報酬の要求 | 報酬の受領・請求どちらも上限超えNG |
❹ 手付の信用供与 | 手付金の貸付・後払い・立替等は禁止(違反は処分対象) |
❺ 断定的判断の提供 | 「絶対に儲かる」などの誤解を与える勧誘はNG |
❻ 威迫行為 | 強引・しつこい・威圧的な勧誘は禁止 |
❼ 預り金の返還拒否 | 撤回時に預り金を返さないのは宅建業法違反 |
試験のポイント
- 手付金は分割払いNG(信用供与)
- 代金・報酬は分割払いOK
5.既存住宅のインスペクション制度(建物状況調査)
- 対象:中古住宅(店舗・ビルなどは除外)
- 調査内容:
- 構造耐力上主要な部分(基礎・柱など)
- 雨水侵入防止部分(屋根・壁など)
ポイント | 内容 |
---|---|
調査者 | 国交大臣認定講習を受けた建築士(既存住宅状況調査技術者) |
宅建業者の役割 | 自ら調査しない。媒介契約書にあっせん有無を記載し、結果概要を説明する。 |
書面での扱い | 35条書面:調査結果の概要、保存状況 37条書面:確認事項の記載 |
✅まとめ:試験対策ポイント
- 「供託所等に関する説明」は35条書面とは別と覚える
- 守秘義務は退職後も有効で、個人情報より広範囲
- 業務上の禁止行為(特に手付金の扱い)は要暗記
- インスペクションは宅建業者が実施しない点に注意
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