宅建業を始めるには、一定の保証制度に加入し、トラブル時に顧客を救済する体制が必要です。この記事では、「営業保証金」と「保証協会」の制度について、試験で狙われやすいポイントをわかりやすく解説します。
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営業保証金とは?
営業保証金とは、宅建業者が顧客に損害を与えた場合に、顧客を保護するための供託金です。
供託金額(基本)
事務所の種類 | 金額 |
---|---|
主たる事務所 | 1,000万円 |
支店(1店舗ごと) | 500万円 |
供託先
- 主たる事務所の最寄りの供託所(供託所一覧)
供託の方法
金銭または有価証券で供託可能。評価額の違いに注意。
有価証券の種類 | 評価率 |
---|---|
国債証券 | 100% |
地方債・政府保証債 | 90% |
その他の有価証券 | 80% |
供託の具体例
本店 (1,000万円)+ 支店3店舗(500万円×3) → 計2,500万円が必要
方法 | 内容 |
---|---|
現金 | 2,500万円現金供託 |
国債証券 | 額面2,500万円で供託可 |
地方債証券等 | 額面2,500万円+現金250万円必要(評価90%のため) |
宅建業開始までの流れ(営業保証金制度)
- 宅建業免許の取得
- 営業保証金を供託(免許取得後3か月以内)
- 供託した旨を免許権者に届け出
- 事業開始
※免許取得後3ヶ月以内に営業保証金の供託または保証協会への加入手続きを完了する必要があります。
支店を設置する場合
- 営業保証金を追加供託
- 供託後、免許権者へ届け出
- 届け出後に事業開始(届け出前の営業不可)
事務所移転
⇒ 営業保証金について「保管替え」または「新たな供託」が必要となります。
- 金銭のみで供託している場合
→「保管替えの請求」を新しい供託所に対して行えばOK。 - 有価証券または金銭+有価証券で供託している場合
→ 新しい供託所に対して新たに供託を行い、旧供託所からは後日取り戻しを行う必要があります。
営業保証金の還付
還付を受けられるのは?
宅建業に関する取引の顧客のみ
➡ 電気業者・広告業者などは対象外
還付により営業保証金が減ったら?
- 不足の通知が届く
- 2週間以内に不足額を供託
- 供託から2週間以内に免許権者へ届け出
保証協会制度とは?
営業保証金の代わりに、保証協会に加入すれば事業開始可能。
保証協会に加入するメリット
- 高額な営業保証金の供託が不要
- 実務上はこちらの方が一般的
加入できる保証協会 |
---|
全国宅地建物取引業保証協会 |
全日本不動産協会(不動産保証協会) |
※両方に重複加入はできません。
弁済業務保証金分担金(保証協会)
項目 | 金額 | 納付期限 |
---|---|---|
主たる事務所 | 60万円 | 加入日まで |
支店(1店舗) | 30万円 | 設置日から2週間以内 |
※有価証券での納付不可(現金のみ)
弁済業務保証金の供託と還付の流れ
- 保証協会が、分担金相当額を2週間以内に供託
- 宅建業者が、保証協会に不足相当額を2週間以内に納付
- 宅建業者ではなく保証協会が届け出る
- 還付は、営業保証金と同じ額まで可能
営業保証金 vs 保証協会:比較表
比較項目 | 営業保証金制度 | 保証協会制度 |
---|---|---|
金額(主たる事務所) | 1,000万円 | 60万円 |
金額(支店1店) | 500万円 | 30万円 |
納付方法 | 金銭 or 有価証券 | 金銭のみ |
届け出者 | 宅建業者本人 | 保証協会 |
供託後の流れ | 届け出後に事業開始 | 分担金納付後、保証協会が供託・届け出 |
覚えておきたい数字まとめ(頻出)
内容 | 数字 |
---|---|
営業保証金:主たる事務所 | 1,000万円 |
営業保証金:支店1店 | 500万円 |
分担金:主たる事務所 | 60万円 |
分担金:支店1店 | 30万円 |
免許付与後の届け出期限 | 3ヶ月以内 |
催告からの届け出期限 | 1ヶ月以内 |
営業保証金不足 → 供託期限 | 通知から2週間以内 |
供託後の届け出期限 | 供託から2週間以内 |
弁済業務保証金不足→供託期限 | 通知から2週間以内 |
✅まとめ
- 「営業保証金」か「保証協会」どちらかを選んで制度に従うことが宅建業開始の前提。
- 金額や期限は試験で頻出、暗記必須。
- 特に「誰が供託するのか」「どこに届け出るのか」を明確に。
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